金洋国
最終更新日: 2023年2月4日
電動キックボード法改正の特設解説ページ
新しい法律を正しく理解して電動キックボードを楽しもう!
2023年7月に法改正の施行が予定され今よりもっと手軽な乗り物になると注目をあつめる電動キックボード。
このページでは電動キックボードに関する新しいルールと法律をわかりやすく解説します。
最も大事なことはすべての電動キックボードが同じルールになるということではないということです。
免許不要・ヘルメット努力義務の「特定小型原付」と免許・ヘルメットが必須な「一般原付」という二つの区分ができます。
目次
- 電動キックボードのルール:これまでとこれから
- 特定小型原付とはどんな乗り物?
- 公道OKな車体 / 公道NGな車体
- 最高速度制限で変わる走行場所
- その他のよくある質問
電動キックボードのルール:これまでとこれから
2023年7月1日より電動キックボードに新しいルールが加わります。
それまで電動キックボードは原付バイク扱いでしたがルールが緩和された新区分ができます。
新区分では一部の電動キックボードは16歳以上であれば免許不要 (ヘルメットは努力義務)で運転できるようになります。
電動キックボードはこれまで原動機付自転車、いわゆる原付バイク扱いでした。
原付バイクということは運転する際は免許証とヘルメットが必ず必要です。
しかし、町中でヘルメットをせずに電動キックボードに乗っている人を見たことはありませんか?
実は政府の実証実験で認可されているシェアリング事業者の電動キックボードだけがヘルメットなしでの運転を認められています。
個人所有とシェアリングの違いをまとめると以下のようになります。
- | 個人所有 | シェアリング |
---|---|---|
免許 | 必要 | 必要 |
ヘルメット | 必要 | 不要 |
最高速度 | 30km/h | 15km/h |
走行場所 | 車道のみ | 車道、自転車レーン |
車両区分 | 原付 | 小型特殊自動車 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 免許に準ずる |
ここまでが2023年1月現在の電動キックボードの主なルールになります。
個人所有とシェアリングの電動キックボードではルールが違いわかりずらいですね。
このわかりずらさを解消するために、2023年7月1日より新しい電動キックボードのルールが追加されることが決定しました。
新しいルールでは「特定小型原付」という新区分が作られ、一部の電動キックボードはこの新区分に入ります。
16歳以上であれば免許不要(ヘルメットは努力義務)で電動キックボードを運転できるようになるというのが今までとの大きな違いです。その代わり、最高速度は20km/hに制限されます。
2023年7月1日以降
- | 個人所有 (原付) | 個人所有、シェアリング (特定小型) |
---|---|---|
免許 | 必要 | 不要 |
ヘルメット | 必要 | 努力義務 |
最高速度 | 30km/h | 20km/h |
走行場所 | 車道のみ | 車道、路側帯、自転車レーン(条件付きで歩道) |
車両区分 | 一般原付 | 特定小型原付 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 16歳以上 |
2023年7月1日以降は特定小型原付の区分に入る電動キックボードであれば個人所有でもシェアリングでも同じルールが適用されるようになります。
なお、免許・ヘルメット必須の原付バイクとしての電動キックボードはそのまま残ります。
個人で電動キックボードを購入する場合は、今までの原付バイクと新しい特定小型の二つの選択肢ができたことになります。
購入する場合はどちらのタイプが自分に合っているかを考えましょう。
特定小型原付とはどんな乗り物?
電動キックボードに代表される新しい区分の特定小型原付。
しかし、電動キックボードだけが特定小型原付ではありません。
要件を満たせばどんな電動の乗り物も特定小型原付の区分に入ります。
原付のうち電動で定格出力が0.6kW以下、長さ190㎝、幅60㎝、以下かつ最高速度20km/h 以下のものが特定小型原付に分類されます。
よく特定小型原付 = 電動キックボードと思われがちですが、実は電動バイクのような座れるタイプも要件を満たせば特定小型原付として登録可能です。


SWALLOWの電動キックボード「ZERO9」は現在一般原付扱いですが、必要なカスタムを施せば特定小型原付へ変更可能です。
しかし、電動一輪車のような電動モビリティーは特定小型原付として公道走行はできません。
公道走行するために必要な保安部品をつけることができないからです。
次は公道走行できる車体はどのようなものかについて見ていきましょう。

公道OKな車体 / 公道NGな車体
特定小型原付の制度がスタートしたからといってどんな電動キックボードも公道走行できるわけではありません。
公道を走行するには保安部品という法律で決められた部品が装着されている必要があります。
ヘッドライトやブレーキランプなど、定められた保安部品を装着している電動キックボードだけが公道を走ることができます。
また、ただ保安部品がついていればいいというわけではなく、国交省が定めた基準を満たす保安部品である必要があります。
例えば、前照灯は前方15m先以上の障害物を照らすことができる、と規定されています。
主な保安部品は以下のような物です。
- 前照灯
- 方向指示器
- 尾灯・制動灯
- 2系統以上のブレーキ
- 最高速度表示灯
- 警音器
- 後部反射器

もしこれらの必要な保安部品のうち一つでも基準を満たしていない場合は公道走行NGとなってしまいます。
海外で販売されているモデルの多くは日本で必要な保安基準を満たしていないので注意しましょう。

最高速度制限で変わる走行場所
従来の一般原付は主に車道しか走行することができません。
しかし、特定小型原付は最高時速が20キロと6キロで走行できる場所が変わってきます。
どちらのモードで運転しているかを表示するために「最高速度表示灯」というランプが必要となります。

最高速度識別灯は前後から見え、現在のモードに応じて点灯・点滅する必要があります。
20キロモード: 点灯
6キロモード: 点滅
また、走行中は切り替えることができず、必ず一度停止する必要があります。
各モードで走行できる場所を見てみましょう。
時速20キロモードで走行できる場所

車道
一般原付と同じく車道は走行可能です。他の車両に比べ速度が遅いので左側通行を心がけましょう。

自転車専用通行帯
一般原付は走れませんが特定小型原付は自転車専用通行帯も走行することができます。

路側帯
一般原付は走れませんが特定小型原付は自転車専用通行帯も走行することができます。
時速6キロモードで走行できる場所
6キロモードでは自転車が走行可能な歩道を限定的に走行できるようになります。
基本的のはこの標識がある歩道のみとなります。
6キロモードであればすべての歩道で走れるわけではないので注意しましょう。

その他のよくある質問 (FAQ)
Q: ナンバープレートは必要ですか?
A: 特定小型原付用のナンバープレートが必要になる予定です。ナンバープレートは今までの原付と同じで各自治体の区役所や市役所で取得が可能です。
Q: 保険の加入は必要ですか?
A: 2023年1月の時点ではまだ詳細は決まっていませんが、自賠責保険(必ず加入する保険)は必須になる予定です。
Q: 今所有している原付の電動キックボードは乗れなくなりますか?
A: 現在原付として登録されている電動キックボードは引き続き利用可能です。特定小型原付の制度がスタートした後も原付の電動キックボードはそのまま継続されます。
Q: 2023年7月1日以降はどんな電動キックボードでも免許とヘルメットなしで乗れるようになりますか?
A: 新しい法律が適用されるのは特定小型原付 (本ページで解説しています) の基準を満たすものだけです。どんな電動キックボードでも該当するわけではありません。特に海外からの輸入品はほぼ間違いなく基準を満たさないので注意が必要です。
Q: 速度を20km以下になるように運転すれば免許なしでも電動キックボードに乗れますか?
A: 時速20km以下で免許が不要になるのは特定小型原付 (本ページで解説しています) の基準を満たすものだけです。特定小型原付の条件として最高速度を時速20kmに制限するリミッターがついている必要があるので、どんな電動キックボードでも時速20kmで運転すればいい、というわけではありません。