金洋国
最終更新日: 2023年10月2日
電動キックボード法改正の特設解説ページ
新しい法律を正しく理解して電動キックボードを楽しもう!
2023年7月に法改正の施行が予定され今よりもっと手軽な乗り物になると注目をあつめる電動キックボード。
このページでは電動キックボードに関する新しいルールと法律をわかりやすく解説します。
最も大事なことはすべての電動キックボードが同じルールになるということではないということです。
免許不要・ヘルメット努力義務の「特定小型原付」と免許・ヘルメットが必須な「一般原付」という二つの区分ができます。
目次
- 電動キックボードのルール:これまでとこれから
- 特定小型原付とはどんな乗り物?
- 公道OKな車体 / 公道NGな車体
- 最高速度制限で変わる走行場所
- 公道走行するために必要な準備
- 交通ルールについて
- その他のよくある質問
電動キックボードのルール:これまでとこれから
2023年7月1日より電動キックボードに新しいルールが加わります。
それまで電動キックボードは原付バイク扱いでしたがルールが緩和された新区分ができます。
新区分では一部の電動キックボードは16歳以上であれば免許不要 (ヘルメットは努力義務)で運転できるようになります。
電動キックボードはこれまで原動機付自転車、いわゆる原付バイク扱いでした。
原付バイクということは運転する際は免許証とヘルメットが必ず必要です。
しかし、町中でヘルメットをせずに電動キックボードに乗っている人を見たことはありませんか?
実は政府の実証実験で認可されているシェアリング事業者の電動キックボードだけがヘルメットなしでの運転を認められています。
個人所有とシェアリングの違いをまとめると以下のようになります。
- | 個人所有 | シェアリング |
---|---|---|
免許 | 必要 | 必要 |
ヘルメット | 必要 | 不要 |
最高速度 | 30km/h | 15km/h |
走行場所 | 車道のみ | 車道、自転車レーン |
車両区分 | 原付 | 小型特殊自動車 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 免許に準ずる |
ここまでが2023年1月現在の電動キックボードの主なルールになります。
個人所有とシェアリングの電動キックボードではルールが違いわかりずらいですね。
個人所有とシェアリングを同じように扱う新ルールが2024年4月までに施行される予定でした。
しかし、できるだけ早くわかりずらさを解消したという自治体の声もあったため前倒しされ、2023年7月1日より新しい電動キックボードのルールが始まることが決定しました。
新しいルールでは「特定小型原付」という新区分が作られ、一部の電動キックボードはこの新区分に入ります。
16歳以上であれば免許不要(ヘルメットは努力義務)で電動キックボードを運転できるようになるというのが今までとの大きな違いです。その代わり、最高速度は20km/hに制限されます。
2023年7月1日以降
- | 個人所有 (原付) | 個人所有、シェアリング (特定小型) |
---|---|---|
免許 | 必要 | 不要 |
ヘルメット | 必要 | 努力義務 |
最高速度 | 30km/h | 20km/h |
走行場所 | 車道のみ | 車道、路側帯、自転車レーン(条件付きで歩道) |
車両区分 | 一般原付 | 特定小型原付 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 16歳以上 |
2023年7月1日以降は特定小型原付の区分に入る電動キックボードであれば個人所有でもシェアリングでも同じルールが適用されるようになります。
なお、免許・ヘルメット必須の原付バイクとしての電動キックボードはそのまま残ります。
個人で電動キックボードを購入する場合は、今までの原付バイクと新しい特定小型の二つの選択肢ができたことになります。
購入する場合はどちらのタイプが自分に合っているかを考えましょう。
特定小型原付とはどんな乗り物?
電動キックボードに代表される新しい区分の特定小型原付。
しかし、電動キックボードだけが特定小型原付ではありません。
要件を満たせばどんな電動の乗り物も特定小型原付の区分に入ります。
原付のうち電動で定格出力が0.6kW以下、長さ190㎝、幅60㎝、以下かつ最高速度20km/h 以下のものが特定小型原付に分類されます。
よく特定小型原付 = 電動キックボードと思われがちですが、実は電動バイクのような座れるタイプも要件を満たせば特定小型原付として登録可能です。
SWALLOWの特定小型原付2種
しかし、電動一輪車のような電動モビリティーは特定小型原付として公道走行はできません。
公道走行するために必要な保安部品をつけることができないからです。
次は公道走行できる車体はどのようなものかについて見ていきましょう。
公道OKな車体 / 公道NGな車体
特定小型原付の制度がスタートしたからといってどんな電動キックボードも公道走行できるわけではありません。
公道を走行するには保安部品という法律で決められた部品が装着されている必要があります。
ヘッドライトやブレーキランプなど、定められた保安部品を装着している電動キックボードだけが公道を走ることができます。
また、ただ保安部品がついていればいいというわけではなく、国交省が定めた基準を満たす保安部品である必要があります。
例えば、前照灯は前方15m先以上の障害物を照らすことができる、と規定されています。
主な保安部品は以下のような物です。
- 前照灯
- 方向指示器
- 尾灯・制動灯
- 2系統以上のブレーキ
- 最高速度表示灯
- 警音器
- 後部反射器
もしこれらの必要な保安部品のうち一つでも基準を満たしていない場合は公道走行NGとなってしまいます。
インターネットなどで簡単に変える海外のモデルには注意が必要です。
これらの海外モデルのほとんどは必要な保安部品がついていないため公道走行はNGです。
保安部品が基準を満たしていない機体で走行した場合、整備不良の違反となり罰則金が発生します。
性能等確認済シールがある製品の商品を選ぼう
たくさんの商品がある中でどれが公道走行可能かそうでないかを見分けるのは難しいでしょう。それを見分ける方法が性能等確認済シールの有無です。
特定小型原付には性能認定試験という制度があり、「安全基準を満たしているか」、「公道走行するための部品はついているか」、「品質は一定か」、などの厳しいテストをクリアした製品だけが性能認定等確認シールを与えられます。
購入する際は必ずシールがあるものを選びましょう。わからない時は店員に、この製品は性能認定試験を受けているか、と聞いてみるのもいいでしょう。
SWALLOWで販売する特定小型原付はすべて性能等確認試を受けていますのでご安心してご購入いただくことができます。
ZERO9 Liteの性能認定番号はJATA-0009、FIIDO Q1S性能認定番号はJATA-0036です。
最高速度制限で変わる走行場所
従来の一般原付は主に車道しか走行することができません。
しかし、特定小型原付は最高時速が20キロと6キロで走行できる場所が変わってきます。
ここではそれぞれ20キロモードと6キロモードという呼び方で解説します。
20キロモードか6キロモード、どちらのモードで運転しているかを表示するために「最高速度表示灯」というランプが必要となります。
最高速度識別灯は前後から見え、現在のモードに応じて点灯・点滅する必要があります。
20キロモード: 点灯
6キロモード: 点滅
また、走行中は切り替えることができず、必ず一度停止する必要があります。
各モードで走行できる場所を見てみましょう。
時速20キロモードで走行できる場所
車道
一般原付と同じく車道は走行可能です。他の車両に比べ速度が遅いので左側通行を心がけましょう。
自転車専用通行帯
一般原付は走れませんが特定小型原付は自転車専用通行帯も走行することができます。
時速6キロモードで走行できる場所
6キロモードでは自転車が走行可能な歩道を限定的に走行できるようになります。
基本的のはこの標識がある歩道のみとなります。
6キロモードであればすべての歩道で走れるわけではないので注意しましょう。
また、歩道モードでは路側帯も走行できるようになります。
自転車が通行可能な歩道
路側帯
公道走行するために必要な準備
電動キックボードで公道走行するためにはいくつかの準備することがあります。
ナンバープレートを取得し、自賠責保険に加入することが法律で決められています。
ここではそれぞれの準備で必要なことを見てみましょう。
ナンバープレートの取得
電動キックボードの購入後、市町村の条例に従って、標識(ナンバープレート)の取得および車体に目立つ位置への取り付けが必要です。
安全性を考慮して、特定小型原付に対しては、従来の原付よりも小型のナンバープレートが市町村により順次交付される予定です。
特定小型原付のナンバープレートは従来の原付よりも小さく電動キックボードのデザイン性を損なわれないように設計されています。
以下のページに記載の自治体ではSWALLOWで2023年7月3日より特定小型原付用のナンバープレートを取得することを確認しています。
各自治体での特定小型原付のナンバープレート交付状況予定
それ以外の自治体についてはお住まいの自治体の税務課にお問い合わせください。
自賠責保険 (強制保険)の加入
自賠責保険は万が一事故が発生した場合、事故で怪我をした人に対する保険のため法律で加入が義務付けられています。
自賠責保険はコンビニエンスストアなどで簡単に加入することができます。料金に関しては法律で定められている保険であるため、どの保険会社でご加入しても保険料は同じです。
期間が長いほど1年あたりの保険料は安くなるので、SWALLOWでは2年か3年物の保険をおすすめしています。
- | 1年間 | 2年間 | 3年間 | 4年間 | 5年間 |
---|---|---|---|---|---|
保険料 | 7,070円 | 8,850円 | 10,590円 | 12,300円 | 13,980円 |
1年あたりの保険料 | 7,070円 | 4,425円 | 3,530円 | 3,075円 | 2,796円 |
なお、自賠責保険は事故を起こした本人は補償の対象外です。本人を補償する場合は別途、任意保険に加入する必要があります。
交通ルールについて
特定小型原付の交通ルールはこれまでの原付のルールをベースとして作られていますが、異なる点もいくつかあります。
ここでは特に重要になる基本ルールとわかりずらい点をピックアップして解説していきます。
16歳以上であれば免許証がなくても運転できるため、基本の交通ルールを知らない人はここでしっかりと理解してください。
重要な基本ルール
特定小型原付の運転には免許証は不要ですが、16歳以上である必要があります。16歳以下で運転すると、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金となる可能性があります。また、購入する歳も年齢確認することが販売店に求められています。
飲酒運転は固く禁止されています。お酒を飲んだ際には、運転を絶対に行わないでください。さらに、酒気を帯びている者に対して電動キックボードを提供することも禁止されています。違反すると5年以下の懲役又は100万円以下の罰金になる可能性があります。
ヘルメットを着用しましょう
特定小型原付ではヘルメット着用の努力義務が法律で定められています。それ以上にヘルメットは万が一の事故から頭部を守ってくれるのでとても重要です。
ヘルメットの重要性に気づくのはヘルメットなしで事故を起こした後です。そうならないようにヘルメットを必ず装着する習慣を身につけましょう。
走行場所
特定小型原付は必ず車道の左側を走りましょう。歩道も走行可能という情報を見たことがあるかもしれませんが、実は歩道はとても限られた条件でしか走行することができません。
いままでの原付バイクでは自転車専用通行帯は走行することができませんでしたが、以下の標識がある場所では特定小型では走行が認められています。
出典: 特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について
以下のイラストは特定小型原付が走って良い場所を表しています。
出典: 特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について
右折・左折方法
二段階右折のイメージ。出典: 特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について
信号がある交差点で右折する際には、「二段階右折」を行う必要があります。
まず青信号で交差点の向こう側まで直進し、そこで止まって右に向きを変え、次の信号が青になったら右折します。
他の自動車や原付バイクが青信号でそのまま右折できる場合でも、特定小型原付は必ず二段階右折する必要があります。
左折する時はまず後方の安全を確認しましょう。交差点手前の側端から30メートルの地点に達したとき、左側の方向指示器を操作して左折することを後方の車に伝えます。
横断歩道がある場合、歩行者に十分気をつけてゆっくりと左折しましょう。
その他のよくある質問 (FAQ)
Q: 2023年7月1日以降はどんな電動キックボードでも免許とヘルメットなしで乗れるようになりますか?
A: 新しい法律が適用されるのは特定小型原付 (本ページで解説しています) の基準を満たすものだけです。どんな電動キックボードでも該当するわけではありません。特に海外からの輸入品はほぼ間違いなく基準を満たさないので注意が必要です。
Q: 速度を20km以下になるように運転すれば免許なしでも電動キックボードに乗れますか?
A: 時速20km以下で免許が不要になるのは特定小型原付 (本ページで解説しています) の基準を満たすものだけです。特定小型原付の条件として最高速度を時速20kmに制限するリミッターがついている必要があるので、どんな電動キックボードでも時速20kmで運転すればいい、というわけではありません。